補助犬の歴史2008

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先月、兵庫県が身体障害者を対象にした職員採用試験で、介助犬ユーザーに対して、介助犬同伴の受験を拒否したという記事を拝見しました。補助犬は、身体障害者の自立と社会参加に有益という趣旨で2002年10月から『身体障害者補助犬法』が施行され公共の場所での行動が認められています。

法律と現実の間に大きな開きを感じます。この現実こそが現段階での補助犬の歴史的事実です。私は障害者の方と共に行動することが多く、心を痛める現実に多く遭遇します。障害者の方が、社会参加をするということは、その壁に勇気を持って向かわなければ現実は変わりません。障害者の方が、社会参加をする上で避けて通れない壁でもあります。でもその壁を超えたところに、社会参加を実現できたからこそ味わえる喜びがあるのだと思います。

インディペンデンス・ドッグス・ジャパンでは、今後ますます、九州地方の補助犬の啓発活動に積極的に努めなければという使命を強く感じる出来事でした。私自身も微力ですが、補助犬育成という道で、障害者と共に現実社会に障害者の方の理解が得られるように、共に支え合い、乗り越えていきたいと思います。

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パンを買いました。

介助犬候補犬のグレースは、スーパーの食料品売り場で食べ物に、反応しない様に訓練(環境馴致)をしています。食料品売り場では、特に食料品に反応しません。少し不安でしたが、パン屋さんでパンを買ってみました。

焼きたてのパンが、おしそうににおいをたてて、陳列棚に並んでいました。その狭い隙間を車イスの傍にグレースを連れて、パンをトレイに似せて膝の上においてレジに向かいました。グレースがパンを食べないこと、グレースの体や尻尾がパンに触れない様に気を付けました。また、私自身も膝の上のパンを乗せたトレイを落とさない様にしました。

このような状況でも、自分のことに余裕が持てるところまでグレースを訓練して経験を積まなければならない思いました。表面的な訓練でなく、あらゆる事柄を、私自身がグレースと共に経験しながら訓練することが大切だと思いました。初めて、介助犬候補犬グレースと買ったパンは、職員のみんなで食べました。このパンの味を忘れずに、これからも介助犬育成に励みます。

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職場体験学習終了

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●介助犬に靴を脱がさせる体験学習?

10月22~24日の3日間の地元の中学生2名の職場体験学習が、今日で終了しました。忙しかったので、十分な対応ができなかったのではと心配しています。最終日の今日は、仕事の合間に、介助犬の体験学習もしていただきました。2人とも犬が好きということもあって、犬とのコミニュケーションも上手で、犬への指示の出し方や、介助犬が上手に仕事をした時のほめ方なども心から褒めることができて、犬も喜んでいました。私たちも、仕事で犬に接していますが、初心に帰って、犬と接する喜び、無心に接する大切さを教えられました。

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●介助犬を心から褒めています

2人ともインディペンデンス・ドッグス・ジャパンで学んだことを、自宅に愛犬との接し方や健康管理に生かしたいと感想を述べていました。職場体験学習をこのまま続けたいということと、優秀な介助犬を頑張って育成してくださいと激励までしてくれました。この子たちの励ましの言葉を胸に、これからも介助犬育成や啓発活動に初心を忘れず、努力していきたいと思いました。

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●介助犬候補犬とも仲良くなりました

≪誰かに教えるということは、すなわちその人から学ぶことでもある≫この子たちの励ましの言葉を胸に、これからも介助犬育成や啓発活動に初心を忘れず、努力していきたいと思いました。この3日間で中学生2人が、心なしか頼もしく見える気がしました。

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職場体験学習

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●職場体験学習の中学生とスタッフ

例年通り、この季節がくると地元の中学生の職場体験学習が始まります。スーパーで、本屋さんで、町のいろんな場所で働く子供たちの姿を見かけます。

当協会も昨年に続き、今年も3日間(10/22~24まで)地元の中学生を2名の職場体験学習を受け入れさせていただきました。朝、職員と中学生でのミーティングで、「九州唯一の介助犬育成施設に体験学習に来てくれて感謝します。がんばってください」と理事長から挨拶がありました。

そして「中学生の皆さんが、社会人になった頃、九州にも介助犬が普及しているといいですね。」というお話もしました。
心に残る職場体験学習になれるように私たちも精一杯お付き合いさせていただきたいと思います。

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もうすぐイザラとお別れ

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●補助犬の訓練を受け成長して、顔付きも頼もしくなりました。

補助犬として訓練を受けているイザラです。
私の家で生まれ、私の家で育ち、私が訓練をしています。そろそろ訓練も終わりに近づき、補助犬を希望される障害者の方のもとに行く日が近づいてきました。

私は過去に盲導犬協会の職員として20数年間に約150頭の盲導犬を送り出した実績を持っています。
どんな形であれ、犬とのお別れは、いつも寂しさが付きまといます。それを乗り越え新しい犬との出会いを喜びとして進んできました。

これからもイザラと過ごした日々、イザラが頑張って訓練を受け入れ成長してくれ、補助犬として一人前になってくれたことを一生涯忘れないでしょう。
これから障害者の方との合同訓練が迫ってきています。イザラが、りっぱな補助犬として障害者の方の力になってくれることこそが最大の喜びです。

イザラと兄妹犬のサンク、アーサー、ルークみんなも応援してね。
イザラ達兄妹の母犬ローズと父犬フランクも応援しています。

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介助犬グレース №3

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介助犬グレースの訓練は、基礎訓練と同時に生活習慣の訓練、環境馴致(経験)などに取り組んでいます。特に、未知の場所、未知の人との対応に余裕をもって冷静に行動できることが求められます。これは、訓練というより経験によって習得することだと思います。犬の個体によって、物事の経験や理解、受容能力が異なっています。したがって、マンネリやパターンに陥らない様に常にアンテナを張って環境馴致に臨まなければなりません。介助犬グレースと最近スーパーマーケットで環境馴致の訓練をしていると、妙なものに遭遇し、とても興味を示しましたのでご紹介します。

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一つ目は、鳥の羽毛で作ってある箒です。車イスの傍にグレースと並んで移動している途中で店内を清掃するためのキャスターに取り付けてあった、商品のほこりを払うための、鳥の羽毛で作ってある箒に興味を示して「クンクン」と匂いをかいでいました。以前、外国の盲導犬訓練士の人に、外国では、ダウンベストを異常に気にする犬がいるということを聞いたことがあったのを思いだしました。どちらも鳥の羽毛で作られているので、犬としては鳥の野性的な匂いに興味をそそられるのでしょう。グレースもひとしきり羽毛の匂いを嗅いだあとは。「なーんだ」という感じで匂いを嗅ぐのを止め冷静にもどりました。

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二つ目は、子供に人気のあるキャラクターの、ぬいぐるみです。ぬいぐるみの販売コーナーの横を通り過ぎようとしたら、ぬいぐるみにも興味を示し遊びたそうにしていました。きっと子犬の時代にぬいぐるみで遊んだ経験があるのでしょう。でも介助犬になるためには、商品を「パクリ」なんて口でくわえてら大変なことになります。グレースは。懐かしいけれど、アンパンマンのぬいぐるみは、卒業です。このように、たった一回、未知の場所を移動しただけで、グレースにとっては、興味をそそられたり、懐かしくて遊びたくなる誘惑のぬいぐるみなどがあります。これからも、ゆっくり時間をかけてグレースを一人前の介助犬に育てていきたいと思います。

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介助犬グレース №2

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介助犬の訓練をする以前に、訓練士として車イスの操作がスムーズにできることが大切なことだと思います。おかげで、今までの色んなノウハウを、少しずつグレースの訓練に活かしています。

介助犬の訓練は、車イスを使用して犬の訓練を行います。少し前までは、介助犬の訓練そのものより、車イスのことで悩むことがありました。それは、道路で車イスで直進しようとしても、どうしても道路の端に流れてしまうのです。

この時は、車イスのシャフトか部品が壊れていて直進できななったと思い込んでいましたが、他の車イスでも同様に道路の端に流れてしまうことから、これは車イスのせいではないということが解りました。一般的に道路は、中央を少し高くして、左右の路側帯が低くして、雨などの水はけがスムーズにできるように造られているのではないかと思います。

したがって車イスで直進しようとしても直進でず左右の路側帯に進路が曲がるという現象が起こっていたのです。今は、車イスの操作も体で覚え、左右の路側帯に流されないで、直進できるようになりました。
身体障害者のための介助犬の訓練は、車イスに乗れることがスタートです。そして、そこから理想の介助犬像に一歩ずつ近づいていくのだと思います。

現在グレースは、車イスに並んでスピードを合わせて移動できるようになってきました。今後は、ノーリードで車イスに並んで移動できるようになるのが課題です。

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介助犬グレース №1

桜井とグレース
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2008年5月6日にパピーレイザーの立原様のお宅から、訓練開始のためにインディペンデンス・ドッグス・ジャパンに引き上げたグレース(ラブラドールレトリバー種・牝)が介助犬の訓練を受けて一人前になるまでをブログでお伝えしたいと思います。皆様の応援をよろしくお願いします。私、桜井の訓練哲学は、犬と心からの信頼を育て築くことが一番大事にしています。それが出来れば、訓練は出来上がったようなものです。また犬の適性を見抜く見識も必要です。全てが完璧な人間がいないように、もちろん犬にも長所と短所があります。

リラックスして寝てしまいました。?
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たとえば介助犬になるための素質があるかないかは、訓練を開始する時、訓練の途中に間違いのないようにするのも重要な訓練の要素です。そこを誤ってしまうと犬にとって無理やり訓練を受けなければならないので犬がかわいそうです。介助犬になる素質がなければ、家庭権になる素質は高い犬ですから、適性を判断した時点で家庭犬として進路を進めてあげることが訓練士の責務です。しかし短所も改善できる可能性を最大限探って訓練士の熱意と忍耐、技術と経験で改善できるものであれば、訓練に進めることこそが、その犬が持っている素晴らしい能力を障害者のために生かすことになるのだと思います。

今は、猫のチャクラとも仲良しです。
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グレースの場合、介助犬適性テストで、ほぼ満点に近いのですが、一点だけ問題がありました。それは、猫や、他の犬、小鳥などを見かけると興味を”やや”強く示す傾向があることです。たくさんの頭数を候補犬として揃える場合ですと、少しの短所でも家庭権に進路を進めるのですが、インディペンデンス・ドッグス・ジャパンの施設は、桜井の自宅を訓練所として使用しているので管理する頭数が10頭弱しかできません。ですから、短所も愛嬌のうちとして介助犬として通用するように訓練を進めます。(但し本質的(本能的)な素質での問題は、訓練(教育)では改善されません。)
でもグレースは、当初の介助犬適性テストで、猫や他の犬、小鳥に対する興味が”やや”強く示していたのは本能的な資質に由来すするのではなく猫や他の犬、小鳥などに対してしっかりと観察したいという気持ちから興味が”やや”強かったのだということが次第に明らかになってきました。

真中がグレース
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グレースは、他の事柄でも、自分でしっかり観察して理解して受容するタイプのようです。また、両親ともに老人ホームでセラピードッグとして活躍しています。この両親の一番良い部分を受け継いでいるのだと思います。グレースは、なんでも理解しないと受容しないタイプの犬です。こういう性質ですからグレースの場合、訓練ということが当てはまりません。教育と経験を与えることで、しっかりと介助犬の役割と仕事を習得すると思います。グレースは、きっと素晴らしい介助犬になってくれると期待しています。グレースを育ててくださった、パピーレイザーの立原様ご夫妻に感謝すると共に、グレースと一緒に過ごせる日々を大事に、感謝していきたいと思います。

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バリアフリー

介助犬の育成をする上で、障害者の方の生活や立場を理解することは必要不可欠です。介助犬育成にかかわる前は、理解できていないことも多くありましたが、少しずつ理解できるようになってきました。たとえば、最近業務上の都合で、介助犬の候補犬と一緒に行動を共にし高速道路を利用することが多くなりました。

介助犬候補犬にトイレをさせるときは、訓練を兼ねてインターチェンジのトイレで介助犬に排泄させる様にしています。バリアフリートイレすなわち障害者トイレを利用していると、県儒者のトイレとは異なった構造になっていることに気付きました。バリアフリートイレの特徴を皆様に、ご紹介してみたいと思います。

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1.トイレ内には、手すりが取り付けられている。
2.ドアの取っ手が、2か所取り付けてある。
3.カギは少しの力でも掛かるようにしてある。
4.様式便座の近くに、緊急呼び出しベルが高さを変えて複数ある。

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5.洗面台の蛇口がレバーで少しの力で動かせる。
6.鏡が車いすから峪めるように傾斜をつけてある。

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7.障害者トイレは、建物の一番手前に設置されている。
8、天井に空間が作ってあり、外部に助けを呼べる。

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9.トイレ内がカーテンで仕切れる。
 (介添え者から見えないようにように)

障害者トイレは、バリアフリートイレなので誰にも優しい構造なので、いつか機会があったら、利用してみてください。

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